日本はビッグプロジェクトが大の苦手
みなさん、お元気ですか?出張車検.comの松山です。本記事は、「学校の成績を良くする方法は?」https://www.rescue-119.jp/news/archives/1285 こちらの記事のスピンオフとなっています。
本記事「日本は巨大プロジェクトが…」のソースは全て個人の感想ですが、閲覧注意となります。私自身、書いていて日本がなぜ国民一人あたりGDPが東欧・バルト3国よりも貧乏な国になりつつあるのか、突きつけられる思いがしました。スコットランドが滅びたダリエン計画を何度も何度も繰り返している印象です。
さて日本は半導体シェア売上高が世界70%→6%に転落するまであっという間でした。残念ながら半導体特有の現象ということではなく、日本は巨大プロジェクトというものを大の苦手としています。結論から先に申し上げます。巨大プロジェクト=戦争です。日本がビッグプロジェクトが苦手ということは、日本が戦争に弱いということに尽きます。以下①~⑱を個別検討します。
世界最強、帝国陸海軍
①第二次大戦最初の半年間、われらが日本軍は鬼神のような強さでした。あの強さでなぜ大戦に負けるのかわからない強さです。空の神兵によるパレンバン油田制圧の一つだけでも、いきなり戦争目的達成。制圧後は三菱石油の玉置氏の指揮により一同火の玉となって復旧。日本の年間産油量を上回る470万kl/年を確保。これは日本の悲願だった油の問題が解決された瞬間で、空挺団指揮官は天皇陛下拝謁の栄誉を賜りました。パレンバン油田は終戦まで連合軍の空襲によく耐え、稼働率50%を保持し続けました。
太平洋、インド洋に敵なし
さらには帝国陸軍銀輪部隊によるマレー攻略・シンガポール陥落、香港陥落、バターン・コレヒドール攻略。帝国海軍もスラバヤ沖海戦、バタビア沖海戦、マレー沖海戦、比島航空撃滅戦では、往復1,660Kmの超長距離アウトレンジ攻撃に成功。海軍搭乗員たちの奮励努力は空母数隻を創出したに等しい戦績でした。セイロン島沖海戦では命中率87%の江草急降下爆撃隊…どの戦いも下士官以下が鬼神のように凄かったのです。真珠湾攻撃水雷攻撃技術においても、地上で見ていた敵米軍パイロットに「上手い!」と感嘆されています。コンピュータ制御などない時代です。すべては人の手による操縦でした。(それまで、日本人パイロットなんて大したことないだろうとタカをくくられていました)
日露戦争では「あの支隊のあの神業がなければ今頃は…」の連続でロシアに勝利しました。まるで明治の日本が昭和に戻ってきたかのような下士官以下の驚異的な強さもあっての連戦連勝でした。たったの半年間で太平洋とインド洋からはアングロサクソン艦隊がほぼ一掃される状況になっていました。
この状況、どこかで見たことがあると思ったら、あれですね。新世紀エヴァンゲリオン 第拾参話「使徒、侵入」。自爆装置の起動が残り数秒まで迫ったところで赤木リツコの作業が終わり、残り時間が2秒から1秒の間となったところで、第11使徒イロウルにハッキングされつつあったカスパー、バルタザール、メルキオールが元の状態に、ぶわーっと戻って、自律自爆の提訴が否決されるあの場面です。アジア・アフリカで殆どただ一か国植民地支配されなかった日本の奮闘で、太平洋とインド洋をハッキングしていたアングロサクソンの艦隊がぶわーっと消え去りました。当時の日本はエヴァでいうところの自滅促進プログラムの役割を果たしたのです。
なお日本の敗戦後も、一部の日本兵は現地に残り、軍事顧問となり、現地人に軍事訓練し、旧日本軍の武器を横流しで供与することにより、対アングロサクソン自滅促進プログラムを作動させ続けることになります。
下士官以下は世界一優秀。指導者層は世界一無能
日本の下士官以下の強さを全世界に見せつける半年間だったと思いますが、彼らの此れ程の強さを見るにつけ、50分遅れで宣戦布告した外務省ほか、指導者層の腰が抜けるほどの思考硬直の根源、あれは一体何なのか検討します。映画にもよく出てくる真珠湾攻撃まであと僅かの場面です。本国から送られてきた宣戦布告文章の暗号解読とタイプが間に合いません。そこで、なんと彼らは、ハル長官に電話をかけて、独断で「面会時間を延ばしてほしい」としました。呆れ果ててアゴが外れます。結局、野村吉三郎大使と来栖三郎特命全権大使が最後通告をハル長官に手渡したのは1時間20分遅れの2時20分で、真珠湾攻撃後すでに50分が経過!もう、抜けた腰も、外れたアゴも元に戻りません。タイプした文章でなくとも、宣戦布告というものは口頭で伝えればそれで済むのです。これでは日本軍下士官以下がいくら世界一強くとも、未来永劫勝てる道理がありません。
当時の大使館員は戦後、出世しています。それは外務省の組織防衛のためです。日本の組織は功労者をはじき出し、失敗者だけが出世をするシステム構造です。この組織構造により、日本の指導者層は個人がいくら有能であろうと、組織全体では世界一無能にならざるを得ないのです。
お役所の掟と御法度「規定外ノ仕事スルベカラズ」
仮に野村吉三郎大使か、来栖三郎特命全権大使が機転を利かし、口頭で真珠湾攻撃の前に、宣戦布告を行い日本に貢献したとします。そのような機転の利く人物は組織として要注意で目を付けられ、排除の対象になります。おそらくは戦後の出世もなかったでしょう。野村吉三郎大使か、来栖三郎特命全権大使も日本という組織で機転を利かせる恐ろしさを骨身にしみて知っていますから保身したと思われます。決められたこと以外をやり、余計な機転を利かせ生贄にされて真綿で首を絞めるように組織に虐め殺され生贄にされ名誉も回復されない恐ろしさを知っているのです。ですので私としては、両大使個人に帰責性があるわけではないと考えます。誰が大使になったところで結果は変わらないでしょう。個々人のパーソナルな問題ではなく組織の問題と解します。
ハル国務長官(中央)と共にホワイトハウスに向う野村大使(左)と来栖大使(右)
(1941年11月17日)Wikimedia Commons
繰り返される戦術的勝利と、戦略的敗北
閑話休題。そして勝利のたびに歴戦の勇士たちは連合国によって着実に削られていくことになります。当時の戦闘機パイロットは短期決戦が前提の少数精鋭主義です。いくら鬼神のような強さを誇っても、1回の戦闘で死傷者1/10、次も1/10、その次も1/10、また次も…と戦闘を重ねるたびに、補充の利かない真珠湾以来の精鋭たちが長期消耗戦で散っていきました。そんな「ピュロスの勝利」に、商船の壊滅(損耗率は神風特攻隊以上)に加え、珊瑚海海戦の戦略的敗北に、ミッドウェー海戦の空母4隻撃沈以来、現在に至るまで日本は敗北に敗北を重ね、その敗北のたびに天文学的な国富が失われるようになります。
壮絶!自分が損をしてでも、足の引っ張り合いをする日本人
②以上が戦前、ここからは戦後になります。戦後もビッグプロジェクトの失敗が続くことになります。高度成長期のその裏側で日本衰退の種はバラ撒かれていました。「民は生かさず殺さずの江戸時代の老中の発想」「時代錯誤の空港行政」をしている間に、日本のハブ空港は外国の仁川(ジンセン)に攫われ、
③原発のメルトダウンによって、向こう100年間で100兆円、200兆円ともいわれる被害総額に、国土の一部も事実上失われたも同然で、
④MRJは7回の延期の後頓挫、(失敗原因究明の記事や番組、特集が多く組まれましたが、纏めると要するに、技術継承の断絶した怒りと絶望の小宇宙内部で足の引っ張り合いに終始していたに尽きます。日本の組織は巨大になればなるほど、お互いの欠点を咎め合い、足の引っ張り合いになってしまいます。これは元をたどれば、小さな日本列島の限られたリソースの中で生きていくために構築された、1万年持続した縄文時代から続く先祖の知恵なのですが…)
⑤開会式がトラウマ級かつ、人件費の97%等中抜きで予算が7340億円から3兆6800億円に膨張した2020東京五輪に、(パリ五輪を見て追記。選手への食・住・移動、個々のスタッフの瑕疵のない基礎的運営力、当たり前のこと(上等な普通)を提供する等、下士官以下の能力は抜群と再認識。上層部が無能でも下士官以下の有能さで何とかする日本)
⑥韓国高速鉄道入札も新幹線方式はフランス方式に敗北。韓国の他に、台湾、中国、アメリカ、ブ ラジル、インド、ベトナム、マレーシア、イギリス等にもインフラ輸出を試みましたが、成功したのは台湾のみ、それもシステムは欧州併用という限定付きで、
⑦オーストラリア海軍への、そうりゅう型潜水艦受注は情報戦の段階で既に敗北→結果も勿論フランスに敗北。→後日談。そのフランスもUKUSA協定(ファイブ・アイズ)に敗北。
⑧インドネシア高速鉄道入札は一帯一路に敗北、※現地を地質調査・測量し、精密な計画をたてた下士官以下は非常に優秀だったことを追記しておきます。
⑨ベトナム高速鉄道もまた、鉄道路線の地形調査や設計のノウハウだけ盗まれて、一帯一路に敗北しようとしています。
https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/12235354.pdf
⑩地上波デジタル放送ISDB-T方式規格の敗北→唯一シェア獲得の南米もブラジルに足元を見られ→ISDB-Tb方式に乗っ取られ敗北、
⑪アフガニスタン邦人撤退作戦は自衛隊機を4機派遣して、500人の予定が救出できたのは0人。唯一、共同通信社の女性記者、安井浩美氏については、ジャーナリスト用にカタールがチャーターしたバスで自力で空港まで来れたというだけで、救出ではなく回収です。日本大使は現地スタッフ500人を見捨てて真っ先に脱出。オランダは1900人脱出するも一部が取り残され外相が責任を取って辞任。日本は誰も責任を取らず処分もされず世界中が唖然としました。つまり日本の国際的信用も、現地協力者と一緒に、カブールに捨ててしまったのです。日本の信用力は地に落ちましたが、おそらく外務省の関係者は何ら責任を問われることなく出世していくでしょう。それが組織防衛のためですから。
仮に大使館員の誰かが機転を利かせ、現地スタッフ500人を見事に脱出させたとします。その大使館員はもう出世の見込みはないでしょう。それどころか官邸・外務省組織全体として憲法違反を問われかねず、大問題に発展したこと必定です。故に真珠湾攻撃のときと同じく、アフガン総領事以下、個人に帰責性があるわけではないと考えます。やはり誰が総領事になったところで結果は変わらないでしょう。個々人のパーソナルな問題ではなく100年以上前から変わらない組織としての在り方の問題と解します。
ただし、組織がどうとか個人があれとか、そんな日本国内における諸事情なんて外国人は知ったことではないのも事実です。これらは日本円の信用力が、世界中の投資家に見限られる最後の1滴となりました。世界は思ったことでしょう。なんという腰抜けの国だ…。これがカミカゼで最後の最後まで戦ったあの日本の今の姿か!コップからは水は溢れ1ドルは中長期的に200円に向かい、国富と庶民の貯金も半減するトドメの一撃になってしまいました。
⑫リニアモーターカーも「SUZUKIの鈴木修会長ー川勝静岡県知事」を傀儡にした大陸の関与等で遅延→海外パッケージ型輸出敗北確実。しかしそんな外国の関与以前に、何処の誰が、現地の協力者500人全員を見捨てる国、誰も責任を取らない国のリニアを買ってくれるというのでしょうか。何処の投資家がそんな国の通貨を信用してくれるというのでしょうか?
⑬2024年、日本政府はオーストラリア海軍が導入を計画する新型艦の入札に、海上自衛隊の最新鋭護衛艦「FFM」(もがみ型)で、スペイン、韓国、ドイツと競合、参加する方向で検討に入ったという事ですが、どう見ても噛ませ犬、アテ馬です。他国よりいい条件を引き出すために利用するだけ利用されてポイ要員です。哀しすぎて笑えてきます。
ついに憲法まで付喪神化して、日本人の足を引っ張り始めた!
※⑪について、80年近く放置されたままの憲法が、意思を持ち始めた感があります。
日本国憲法「日本人同士足の引っ張り合いで楽しそうだな。よっしゃ!ワシも参加しよ!日本人の足引っ張ったろ!」
このまま憲法に足を引っ張られたままで台湾有事の邦人救出どうするのでしょう。このままではアフガニスタンと同じく、憲法上の制約で見捨てられる運命にあります。一体何のための憲法でしょうか。憲法を護って国滅びる、玉よりも飛車を可愛がる…憲法改正もせず、ぐず愚図しているしているうちに憲法上の制約でカブールでは国際的信用を失い、その流れで⑫リニア用のインフラ輸出も頓挫に、⑬もはや世界からはポイ専用の要員扱いと、ボディブローのように効いています。自分の領土も満足に護ることができていません。尖閣諸島→東シナ海ガス田採掘→沖ノ鳥島に観測ブイ設置→長崎県男女群島沖の領海上空侵犯→測量艦が鹿児島県口永良部島近海領海侵入→やがては沖縄→日本本土と、じわじわ国土を失い、亡国の流れになっています。内蒙古・満州・チベット・東トルキスタン・香港・台湾は人ごとではありません。(しかし、大陸政権の、この、100年200年300年単位で、真綿で首を絞めるように日本をじわじわ侵略する手法、敵ながら巨大プロジェクトが得意と言わざるを得ません)
⑭対露北方領土交渉は、1992年の唯一無二の絶好の機会を宮澤喜一内閣が逃したあとは、足元を見られ続けて結果、長い時間と莫大な経済協力金を失っただけでした。1991年、旧ソ連も崩壊していましたが日本もバブルが崩壊していました。
⑮日本の基幹ロケット「H3」について、世界のロケット市場を熟知する関係者は「先頭を走る米国との打ち上げ競争は100対1の劣勢。H3は惨敗必至」と酷評します。日本の宇宙機器産業に携わっている従業員数は1万人を下回る規模で、日本の自動車産業就業人口が534万人ということと比較すると著しく少なく、日本の「宇宙村」の顔ぶれも50年間変わっていないといいます。もちろん需要は官需が9割。このリソースでいったいどうやって…
令和6年10月14日、追記。
「上記⑮の100対1の劣勢。H3は惨敗必至」ですが、訂正が必要になる報道がありました。100対1どころか、もはや勝負になりません。再利用方式なら発射に必要なコストは1/10以下にカットされます。
以下、yahooニュースより引用します。
スペースX(SpaceX)の「スターシップロケット」は2024年10月13日、5回目の試験飛行で世界初の成功を収め、イーロン・マスク(Elon Musk)が率いる打ち上げシステムが宇宙飛行に革命をもたらすという可能性を示した。
この打ち上げシステムは高さ71メートルのスーパーヘビーブースターの上にスターシップロケットを搭載したもので、全長は121メートルにもなり、自由の女神像よりも高い。
打ち上げ後、軌道に向かうスターシップから切り離されたブースターは、地球に戻り始めた。テキサスにある発射塔に向かって降下すると、巨大な機械式の「箸」のようなアームによって回収された。巨大なブースターが、崩壊することなく地球に帰還することができたのだ。(引用了)
今を去る2021年9月30日、本田技術研究所および本田技研工業は宇宙事業への参入を明らかにし、「再使用型小型ロケット」を目標に掲げましたが、早くもイーロンマスクに先に実用化されてしまいました。しかし、私個人的にHONDAロケットに一縷の望みを託します。本田宗一郎氏の生前の夢を実現させたHONDAジェットのように、ホンダの親父さんの宇宙への夢が実現することを願って止みません。2029年の史上2番目の再使用型小型ロケットHONDAロケット打ち上げのニュースを待ちます。
私は自動車の仕事をしています。HONDAの関係者から興味深い話を伺ったことがあります。「松山さん、クルマが売れる、売れないってのはね、心霊の世界なんだよ」「人知を超えたところにあるんだよね」私はこの話をいまだに理解できずにいますが、HONDAの創業者たる本田宗一郎もまた人知を超えた存在であることは確かです。創業者の魂がこの世に残り続けて、夢を見続け、後継者たちが夢を叶え続ける。会社創業者にとってこれほどの幸せはありません。
世界標準化の前に敗れ去る、日本のガラパゴス規格
⑯winny金子氏の逮捕を思い返せば「P2Pは違法だ」というイメージが広がり、日本ではP2Pシステムの開発が止まり、検索サーバにキャッシュを置くのも違法だといわれ、検索エンジンの開発も止まってしまいました。その間に世界では、P2P技術を利用したIP電話、スカイプが普及し、今では国際通話のほとんどはスカイプで行なわれるようになっています。使われたのは金子氏の開発したキャッシュ技術で、他にもこの技術はサーバ間の転送などに使われています。しかし金子氏が逮捕されてから無罪が確定するまでの7年間に、日本のP2P技術は壊滅してしまいました。取り返しのつかない損失でした。P2Pシステムの失敗の源流を辿れば、ルンバやiPod等で後塵を拝し、取り返しのつかない事態となった理由も同根とわかります。特にiPodとSONYの「石鹸箱」との対比は当時衝撃的で今でも悪夢に魘されます。日本凋落の始まりを象徴する対比でした。日本のガラパゴスは性能面で劣るわけではありませんが、この前後から欧米の世界標準化の前に次から次へと敗れ去ることになります。
余談続きます。なぜ欧米は世界標準化を得意とするのでしょうか?例えば西洋のクラシック音楽です。なぜ「西洋音楽」だけがスタンダードになったのでしょうか? その要因はいろいろあると思いますが、なんといっても「楽譜」と「記譜法」の発明が大きいのです。日本の将来に必要なのは「楽譜」「記譜法」の発明に相当するソフトウェアですが、日本が縄文時代以来の究極の血族社会・村社会・排他的社会である以上、非常にハードルが高いと言わざるを得ません。「インテル、入ってる」のCMも当初は関係者ですら「?」で理解することさえ困難でした。閑話休題。西洋以外にも「楽譜」「記譜法」はもちろん存在しますが、どうしても地縁、血縁等に縛られて門外不出でガラパゴスなものとなってしまいます。西洋の標準化システムの元を辿ると、古代ローマのアウグストゥス帝に行きつくように思います。従来あるものをシステム化・普遍化し、ブリタニアからメソポタミアまで広がる多民族国家ローマ帝国全体に普及させるのは彼の得意とするところでした。
加えてキリスト教です。教義として、家族や親戚といった地縁・血縁による結びつきをいったんは拒否するそうです。とはいえキリスト教が地縁や血縁関係を否定し、無視する…というわけではないそうですが、このあたりの機微は宗教学者ではないド素人なので、まったくわかりませんが、西欧の人々が、ガラパゴス化の正反対の価値観を持つ人たちであることは何となく理解できます。要するに彼らのコミュニティはあらゆる楽器が収斂される西洋楽譜的であり、あらゆるハード、ソフト、周辺機器が収斂されるMS-DOS、windows、iOS、android、bluetooth,IEEE 802.11の「ようなもの」なのです。対人関係からして既に、オペーションシステム・その他のように、広く繋がっているのです。例えば非構造化データを保存するcloudストレージ・パブリックなAWSクラウドなんて、日本人単体では1,000年経っても無理だったでしょう。上層部に潰されるからです。ルンバ型ロボットも「仏壇のローソク倒したらどうするんだ!」と松下電器上層部に潰されたという都市伝説があります。(そんな事を言っていたら、ガスも電気もダメ、フネもクルマも飛行機もダメ、刃物もダメ。何もかも危険性で駄目、人類自体も地球環境にとって駄目ということになる)閑話休題。歴史的、宗教的にも普遍化・標準化が得意な欧米システムに、日本はどのように立ち回ればいいのでしょうか。残念ながら私にはわかりません。次の若い世代を応援することしかできません。
⑰東芝は2015年に会計不正が発覚し、歴代3社長が辞任。2016年末に米国原発事業で巨額損失が露見し、債務超過に転落、事実上かつての日本を代表する巨大企業「東芝」は消滅しました。東芝関連の報道ピーク時は、まるで悪夢を見ているようでした。社員一同がコツコツと懸命に稼いだカネを、経営陣が虚栄心を発揮した挙句、血と汗と涙の結晶の数兆円と、企業の命運を一緒にドブに捨てたのです。
⑱2025大阪万博は21世紀のインパール作戦・本土決戦と称されます。本土決戦は天皇陛下のご聖断で辛うじて阻止されましたが、全員玉砕するまでけっして作戦を中止しない旧日本軍と同じ失敗を何回繰り返せば済むのでしょうか。もういい加減巨大プロジェクト自体止めないといけません。日本という国は地道に細かくコツコツやるしかありません。
蛇足続きます。冒頭で引用したスコットランドのダリエン計画と今の日本がそっくりすぎます。かつて読んだ『とびきり哀しいスコットランド史』〜哀しすぎて笑える〜(ちくま文庫)。この本を要約すれば、スコットランドという国は、若い王が死に、幼い王の摂政政治で乱世となり、貴族の争いとフランスの接触が繰り返されるというもの。お互いに足の引っ張り合いをしているだけで、平和な治世の期間は極めて少ない。やがて国であることをやめてしまった…となります。
日本も第二次大戦の敗戦から、原発メルトダウン、MRJ敗戦など、対外的巨大プロジェクトに成功したという話があまり思い浮かびません。日本人同士、足の引っ張り合いをしているうちに、円の価値(国富)も半減しようとしている現状です。イングランドに併合されたスコットランドの哀しすぎて笑える状況は、けっして人ごとでは無いと思います。事実、熊本県は台湾の半導体メーカー(熊本に出向している一般社員TSMC台湾人の年収2450万円)に吸収合併されているような錯覚すら感じるこの頃です。中長期的に円が200円になれば熊本に住む台湾人社員の年収は円換算3,000万を超え、日本人との給与差はますます広がるのでしょう。
ここまで実例をあげてあげてきましたが、みなさん疑問に思わないでしょうか。巨大プロジェクトが苦手な日本が、なぜここまで巨大プロジェクトに執着して、失敗するとわかりきっているのに、どうして何度もやりたがるのでしょうか?私は心理学者ではないのでよくわかりませんが、似たようなものを見つけることができました。
クレヨンしんちゃんが何でも自分でやりたがる、あの心理ではないでしょうか? マ元帥の言っていた「日本人はteenagerに至らない子ども」という指摘は言い得て妙です。
もう一点疑問です。近代の明治維新から富国強兵、日清・日露までの巨大プロジェクトが何故成功したのか?それは薩摩の外交力に頼ったところが大きいのです。薩英戦争を思い起こせば、鹿児島『県』を1として、5000倍の大英『帝国』の敵の大将を討ち取って勝ち、結果、薩英は友になり、挙げ句の果てに日英同盟にもっていくとか尋常ではありません。国力が5000倍の敵に勝つとか、人類の歴史上、後にも先にも薩摩藩だけです。薩摩の戦争の強さには舌を巻きます。日英同盟は21世紀の現在、復活の兆しすらあります。すべては160年前の薩英戦争勝利の余波です。日本はあの地域だけ特殊なのです。薩摩の元勲・軍人、薩摩出身の外交官(岩下方平、寺島宗則、鮫島尚信、森有礼、吉田清成…)が死に絶えた後に、第二次大戦に突入した時点でそもそも無理がありました。薩摩の小泉元総理の郵政政局もしかり、薩摩の人が強権発動する場合、例外1として巨大プロジェクトは成功するようです。
例外2は食の安全保障です。こと食い物に関しては日本は無類の強さを発揮します。2010年ワシントン条約締約国会議でクロマグロ漁の全面禁輸の危機では、掟破りの多数派工作に加えて、ダメ押しにリビアの故カダフィ大佐まで動員してマグロ禁漁から日本を救いました。西欧諸国は日本はマグロでここまでやるのか!?と、その執念にびっくり仰天しました。日本の気合勝ちです。危うくもマグロがクジラの二の舞になる既の所での回避でした。今日、日本の食卓で普通にマグロが食べることができ、すし屋で大将に「トロ!」と言えるのは、故カダフィ大佐のお陰でもあるのです。しかし日本人の食への執念は、いったい何が由来なのかよくわかりません。今後の研究課題です。
福島県伊達郡の中村善右衛門の創意工夫、ミッドウェーで2度目の兵器転換命令を30分でやってみせた海軍整備兵たち、小惑星探査機はやぶさの「こんなこともあろうかと」等、個々人(下士官以下)の常軌を逸する優秀さが日本の救いで、巨大プロジェクトがほぼ失敗する現実、日本が戦争に弱いという現実がある以上、これからも個々の力で何とかする以外ありません。地道にコツコツと。しかし、日本はチームプレーの国かと思いきや、意外と個人プレーの国という側面も持ち合わせています。